情報にすぐ手が届くことは怖いことかもしれない
岩田氏:
検索ワードを入れてすぐに答えが返って来たら,何も考える必要がないじゃないですか。だけど,あの頃のプログラムは暗号状態ですから,断片的にちょっとずつ散らばっている情報を寄せ集めて,「これとこれをつなぎ合わせたら,こうなるんじゃないか?」という試行錯誤を,考えながらやっていたわけです。これはね,やっぱり相当鍛えられたと思います。
川上氏:
思考力が鍛えられますよね。略
川上氏:
もちろん,すごいところはすごいんですけど,明確な弱点がある気がします。何かっていうと,情報に恵まれすぎているから,「情報が欠落したときの対応力がかなり低いんじゃないか」ってところです。
岩田氏:
けっこう弱いかもしれませんね。その話でいうと,過去についてのデータはいくらでもあるんですけど,未来についてのデータって,当然ないわけじゃないですか。だから,未来っていうのはすごく不確実なものなんですけど,実際のビジネスって,未来と向き合うことなんですよね。
情報にすぐ手が届くことは怖いことかもしれないという気がしている。それは上記の対談内容にあるように、試行錯誤する思考力、問題解決力を奪う気がしてしまうから。
これは別の記事で川上量生さんが確か仰っていたことのように記憶しているのだけど、アマゾンであるとかで商品を買うと、オススメが表示されたりする。便利であるのだけれど、その地点でコンピューター側に操作されているというか、「本来ならA~Zの間で選ぶべきこと」を、機械によって「A~Eの間からオススメとして選んでね」と範囲を絞られているということ。
もしかしたら本当に必要なのはオススメに出てこないFだったりKだったりするのかも知れないのに。人は一回脳が範囲外と認定すると改めて新しく範囲設定するということに適していないのだと思う。
よく言われるようにリアルの書店の良さは、自分に興味がない本、自分が範囲外としたものにも、例えば平積みにされていたり、popが飾られたりして目に留まり再認識することが出来ることだ。
読書を長年続けているとどうしても読む本の傾向が偏ってしまう。
だから自分が興味ないものであっても話題の本は買ってみたり、自分とは違う職種の方がオススメしている本に手をのばしたりと、「意識して」自分の脳の範囲外にある場所にアクセスできるよう心掛けている。
何か意見を見かけたときは、特に大勢の人が賛成している意見にはあえて反対の意見はないか探してみたり、探す時は複数の媒体に出来るだけあたるようにしている。
オマケ
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